<<長浜 「元祖長浜屋」 | 中州 「やまちゃん」>> | |
前項で訪れた「元祖長浜屋」の現在の場所は、かつて同店が支店として営業していた店舗である。 本店はそこから角を挟んだすぐ裏手に存在したのだが、今は違うラーメン店となっている。 それが、この「長浜ナンバーワン」である。 「長浜ナンバーワン」は創業が昭和46年と、豚骨ラーメンのルーツを訪ねる我々が巡る事になる老舗店らと比べればその歴史は比較的浅い。 豚骨ラーメンという料理におけるエポックメイキングな足跡を残したわけでもなければ、全国的な知名度も高いわけではない。 然るに、何故我々がこの店を訪れる事にしたのか。 それには、福岡「屋台ラーメン街」について触れる必要がある。 福岡の「屋台ラーメン街」といえば、ラーメン通でなくても広く知られた、福岡の夜街を彩る名物歓楽街である。 魚市場として栄えたこの地の従業員の空腹を手早く満たすことに始まった「屋台ラーメン」は、中州や天神、博多駅前などに数々の屋台が軒を連ねて今も営業を続けているが、厳密に言えばこれは公道の不法占拠に当たる。 福岡市にとって観光資源でもあった「屋台ラーメン街」は長らくそのまま放置されてきたが、平成12年に「福岡市屋台指導要綱」が策定され、現状の屋台営業を法的に認める代わりに原則的に営業者一代限りとなった。 このため「屋台ラーメン街」の屋台数は減る事はあっても、今後増える事は無い。 競争力のある屋台が店舗営業にシフトしつつあるのはこのためで、特に一親等営業でない場合店の屋号存続のためには必須となる。 「長浜ナンバーワン」は、この指導要綱を契機に屋台から店舗へ転身を果たした典型的な成功例である。 「長浜ナンバーワン」の屋台店は長浜地区で今も営業を続けているが、路面店は既に数々の支店展開をしており海外は香港にも存在する。 首都圏進出の噂も絶えず、今や日の出を見る勢いである。 旧「元祖長浜屋」本店の場所にその路面店があるとなれば、後学のためにも素通りするわけにも行かない。 我々が訪れたのは「長浜ナンバーワン 長浜店」。 若い店舗らしく、小奇麗な外観と、今風なこだわり書きやメニュー看板等が並ぶ。 店内は広くゆとりがあり、明るく清潔だが、もう少し飲食店らしい趣や温かみがあっても良いのではないかと思えるほどに食堂的な点は「元祖長浜屋」と似ている。 |
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素通りは許されない | トイレが清潔で嬉しい | こういうのが食べたかった |
メニューは豚骨ラーメンの他に、辛みそ等がありトッピング別の種類も豊富だ。 ラーメン(400円)を注文し、到着したのが画像の一杯である。 長浜ラーメンの特徴らしく、ネギ沢山、薄めのチャーシュー肉は2枚ほど乗り、麺は極細。 スープは程よく乳化しており、最古参の老舗から20年間の時の経過を思わせる。 「元祖長浜屋」からの連食のせいか、量は少なめに思える。 スープを啜ると、濃厚でクリーミーな味わいが口中に広がる。旨味や塩味の塩梅も程よく、旨い。 臭みも少なく、多目のネギが一服の清涼感を加味することで、連食をする身にもしつこさを感じさせない。 麺の湯で加減は普通でオーダーしたが相応の歯応えを保っており、カタにすれば良かったという後悔も無かった。 加水率低めの麺の特徴であるボソボソした粉っぽさも、こうした全体のバランスの中では実に良くマッチする美点となっている。 数々のチェーン展開をするだけあって、老舗ながら現代の普遍的な味の行儀をきちんと弁えている、そんな印象だ。 屋台店の味を確かめていないので定かな事は言えないが、路面店では時勢に合わせた味のブラッシュアップをしているのかもしれない。 ここから本日最後のシメとして福岡屋台ラーメン街へ繰り出す予定の身には、屋台ラーメン街へ連なる架け橋としての歴史を持つこの「長浜ナンバーワン」を訪問できた事により、心身両面の点で充足感を得ることが出来たのは実にありがたかった。 この「長浜ナンバーワン」が首都圏に進出して人気を博してくれれば、我々は本場の味を知ってる風に語れる優越感に浸れるだろうか、などと都合良く考えながら少々離れた中州まで腹ごなしに早足で歩を進めた。 「長浜ナンバーワン」長浜店 福岡市中央区長浜2-5-19 092-725-5545 営業時間 11:30〜14:30 17:00〜23:00 定休日 日曜日 駐車場無し |
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